今日は敏郎さんの命日。
命日には出演作品のDVDを見ながら酒でも飲んで敏郎さんを偲ぶ。
 
去年は『血と砂』を見た。今年は何を見ようか。
 
特別な日以外にも敏郎さんの映画は見るのだが、手元にある作品は既に何度も見ていて、正直新鮮味は薄い。そこで考えた、既に見た作品に新鮮味を蘇らせる鑑賞法はないものか。そして思いついた、毎回全身全霊傾けて真剣に見過ぎていた姿勢、それを変えてみてはどうか。『酔いどれ天使』を初めて見た時のような衝撃や興奮は望むべくもないが、多少のリフレッシュになる鑑賞方法として私が思いつき、以降実践している鑑賞法、それは、「合いそうな洋画作品と二本立てで見る」というもの。組み合わせの妙を愉しむ、遊び心、相乗効果によって、それまでと趣の違う面が見えた気がした。この「合いそうな」というのがポイントで、少しでも共通点があれば良しというアバウトな縛りである。
 
その鑑賞法にハマって今年はほとんどそれで見た。中には何の科学反応も起こさない単なる2本立てになってしまったものもあるが、概ねイイ感じの刺激でもって新鮮味が生まれ、面白く見ることができた。今日はそのいくつかをセレクトポイント付きで紹介したいと思う。
 
 
洋画との意外な組み合わせを楽しむ 三船敏郎再発見ハイブリッドセレクション
 
 

白痴 Akira Kurosawa,1951 オルフェ Jean Cocteau,1951
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原節子とマリア・カザレス
『オルフェ』は映像詩、『白痴』は詩的にされた映画。カットされて断片的になっても語る映像の圧が違う。
 
 

醜聞(スキャンダル) Akira Kurosawa,1950 アラバマ物語 Robert Mulligan,1962
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弁護士
子供、ファンタジー、『アラバマ物語』が傑作すぎた。
 
 

椿三十郎 Akira Kurosawa,1962 スモーク Wayne Wang,1995
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未熟者
三十郎の世話焼き感が凄い。
 
 

悪い奴ほどよく眠る Akira Kurosawa,1960 夜よ、こんにちは Marco Bellocchio,2003
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正義
自分は正しいという上の空があった。いずれにしても苦い。
 
 

隠し砦の三悪人 Akira Kurosawa,1958 黄金 John Huston,1948
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ボガードが釜足さんに見えてくるミラクル。
 
 

日本の首領 完結篇 Sadao Nakajima,1978 BROTHER Takeshi Kitano,2000
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凄む男
首領の凄みとは、威嚇ではなく、優越感から出る模様。洋画じゃなくて失礼。
 
 

日本誕生 Hiroshi Inagaki,1959 カーディアンズ・オブ・ギャラクシー James Gunn,2014
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奇想天外
東宝のマーベル気質を発見。
 
 

續 宮本武藏 一乗寺の決闘 Hiroshi Inagaki,1955 キス・オブ・ザ・ドラゴン Chris Nahon,2001
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戦う理由
武蔵が気の毒に思えてきた。
 
 

太平洋の地獄 John Boorman,1968 ボルベール<帰郷> Pedro Almodovar,2006
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男と女
リー・マーヴィンじゃなくてペネロペだったらという妄想。
 
 

 Kihachi Okamoto,1965 オンリー・ゴッド Nicolas Winding Refn,2013
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父親殺し
“その復讐は神への挑戦”
 
 

蜘蛛巣城 Akira Kurosawa,1957 クロニクル Josh Trank,2012
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暴走
Sick。勝ち組のイケメン夫を無駄に破滅させた浅茅に注目。
 
 

天国と地獄 Akira Kurosawa,1963 シティ・オブ・ゴッド Fernando Meirelles,2002
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スラム
『天国と地獄』は結構なバッドエンディング映画だった。
 
 

赤ひげ Akira Kurosawa,1965 リービング・ラスベガス Mike Figgis,1995
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生き様
新出去定はこの二人をどう見るか。
 
 

酔いどれ天使 Akira Kurosawa,1948 幻の女 Robert Siodmak,1944
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ジャズクラブ
虚無的・悲観的・退廃的。松永がフィルム・ノワール的なことに気づく。
 
 
 
切り口を変えるといつものあの作品も新鮮な感覚で楽しめるというお話。
ちなみに組み合わせた洋画も傑作ぞろいである。
 
来年は、今年よりもっと多くの未公開作品が公開されることを切に願う。