今年の10月、4Kになった『七人の侍』が劇場公開される!!!
見るべし!
と
3月に発表されてから待つこと半年以上、ついに今日、TOHOシネマズ新宿で観てきた。
何度も観た作品とはいえ映画館で4K仕上げの菊千代に朝からクライマックス。明かりが消えスクリーンに東宝のマークで感動、早坂文雄のプリミティブなサントラに乗って脚本、橋本忍、小國英雄、黒澤明の名前が並んで感動、出演、三船敏郎、志村喬と並んで感動、その後も名前がズラズラズラズラ続き、最後にドーン、監督黒澤明。本編始まるまで長かった、こんなに長かったっけ?!こんなにタイトルロールを長く感じたのは初めてだ。そして山並みに野武士たちの姿が現れ「この村は襲ったばかりで何もないから収穫が終わった頃に襲いに来よう」と冷血な言葉を残して一旦引き上げていくファーストシーンからラストまで、あっという間だった。『七人の侍』を見て「食い足りない」とする感覚は凄い。頭からもう1回観てもいいくらいあっという間に感じた3時間半だった。あえて書くが、面白かった。
4K映像はどうだったかというと、所有するクライテリオン版DVDの画像と比べて若干コントラストは弱め、役者の顔についた泥とか、風合いというか自然で微妙な色差が表現できている。傷や汚れや線もほぼなかった。雑音が取り除かれ無音を感じることもできる。全体的にクリア過ぎずオリジナルの滋味を残してある感じ。ラストの雨の合戦シーンに4Kの醍醐味がある。
侍ハントに町へ出た利吉ら。思うように見つからず絶望し仲間割れしかけたその時、ざわつく人だかりへ目をやると、僧を連れた一人の侍が橋の下の水辺に佇むのが目に入る。志村喬、一人目の侍、勘兵衛登場。暗い場内に椅子に座り直すような身じろぎの音が広がる。勘兵衛かっけー、かっけーよ喬さん!!そして利吉らの少し後ろに同じように熱い視線を送る年若い侍、勝四郎、木村功登場、若っ!もっとあの侍がよく見えるように正面へ回ると、そこには既に誰よりも興味津々、完全に魅せられた様子で特等席に陣取る得体の知れない男、三船敏郎、菊千代登場。菊千代!!!私は拳を突き上げんばかりに興奮していた、場内がフワッと色めき立つ、菊千代見たさの観客は少なくなかった。そして彼らも私も菊千代の運命を知っている。アップになった菊千代の顔は若く繊細で感情的で生々しかった。酒に酔って暴れながら「貴様、俺のことを侍かとぬかしやがったなっ」と官兵衛に喰って掛かる菊千代の狂態があまりに綺麗で泣けた。
画質が上がって見やすくなったことで視聴のストレスが減り、わかりやすくなった。あっという間に感じたというのはそういうことだろう。東宝はオリジナルに手を入れることを恐れず、どんどん古い映画をリストアしていくべきだ。物語と役者の魅力は決して色あせない。それはリストアで欠損するような脆いものでは無い。敏郎さんは正面も斜めも横顔も全てが完璧に男前だったことが4Kでハッキリ証明された。超男前。
作品全体が軽快にモダンになって現れた印象。
日本映画史上最高傑作とレッテルを貼られる前の1954年封切り当時はこんなふうに見えただろう的な。